石狩川流域 湿地・水辺・海岸ネットワークとは?

石狩川流域には、100年ほど前まで広大な湿原があり、多種多様な野生生物や人間がそこで暮らしていました。
現在、わずかに残されたいくつかの湿地(湿原・沼・海)では、各地域の団体によって保全や活用が進められています。
これらの団体でネットワークを構成し互いの強みを共有することで、個々の湿地の更なる魅力を発掘し、より幅広い市民が希少生物種・湿地への関心を持つことを目指していきます。

主な活動

A ction
湿地環境の研究・啓発

石狩川流域には、かつての大湿原の名残を含む湿地(湿原・沼・海岸)が各地に存在し、希少生物をはじめとする多様な生き物のすみかとなっています。
私たちは湿地環境に関わる様々な学識者と共に、流域内の湿地の研究を行っています。
また、湿地のもつ豊かな価値をより多くの人々に伝えるための活動を進めていきます。
今後は環境DNAを用いて、湿地環境の希少性の評価や、外来種の侵入状況などを研究していく予定です。

B reed
ミズゴケ里親制度による湿原再生

かつての石狩平野には、大きな湿原が形成されていました。この湿原を形作っていたのがミズゴケです。
ミズゴケは保水力が高く、他の様々な湿性植物の苗床にもなります。
現在では、ミズゴケの湿原はそのほとんどが消失しており、とても貴重なものとなっています。
私たちは、流域内から採取したミズゴケを里親さんに自宅で育成してもらい、湿原再生地に還元する活動を行っています。
2019年3月30日現在、里親さんは95名です。

C ulture
湿地文化の継承(チタラペづくり等)

湿地の魅力は、希少な動植物の生息場所であることだけでなく、湿地と共に暮らした人々の文化にもあります。
私たちは、より多くの方々に湿地の魅力や大切さを知ってもらうため、湿地の恵みを体験するワークショップを開催しています。
2017年度と2018年度には、アイヌ文化に伝わる「ガマのゴザ(チタラペ)づくり」を行いました。
9月に池でガマを採取して乾燥させ、10月にはアイヌ文化活動アドバイザーである貝澤美和子さん、貝澤珠美さんの指導の下、参加者が手作りした編み機でゴザを作りました。
今年度以降は、カサスゲを使ったしめ縄作りに挑戦したいと考えています。

D etection
石狩川下流残存湿地探索会

石狩川流域には、保全活動の対象になっていない湿地や、学術的な研究の対象になっていない湿地が随所に残されています。
私たちは、特に消滅の危機にある高層湿原(ボッグ)を対象とした合同湿地探索会を実施し、流域内における湿地のデータベースを構築しています。
探索会には植物や昆虫の研究に携わる大学教授の方々にも同行していただくこともあり、様々な視点で湿地を調査しています。
今年度以降もこの取り組みを継続し、さらなるデータベースの構築・拡充へと繋げていく予定です。

E vents
しめっちフェスタ・しめっちカフェ

■しめっちフェスタ
石狩川流域の湿地の魅力を、湿地の現場で発信したい!ということで開催しているのが「しめっちフェスタ」。
フェスタでは、流域内における環境保全活動を紹介するパネル展示や、海辺の素材を使ったクラフトづくり教室、しめっちマスコットの編みぐるみ「編んだもんだら」の販売などを行っています。
今年度は2018年度と同様、宮島沼で毎年開催されている「宮島沼カントリーフェス」と同時開催されました。
特別企画として、嵯峨治彦さんによる馬頭琴演奏や、千歳市で活動されているThe Horse Bone Bros.さんによるバンド演奏なども行っています。

■しめっちカフェ
私たちが保全・利活用を進めていきたい湿地には、多くの人はあまり関心がないかもしれません。
また、少し関心があっても、湿地に実際に行くことは容易ではないと思います。
「そんな人にも湿地のことを知ってほしい」「私たちの仲間を増やしたい」
そんな願いから始めたのが「しめっちカフェ」。
一般の方々向けに、当ネットワークの各団体の活動紹介のほか、研究者や有識者を招いてのカフェを開催しています。
少人数でのサロン的な情報発信を行うことで、参加者相互の情報交換や連携が可能になっています。
仕事帰りにちょっと寄り道して、湿地の魅力・課題・利活用、そして今後の在り方などについて学んでみませんか。

F orum
しめっちフォーラム

一般の方々に、湿地や私たちの活動を流布させるためや、団体間・関係者間の交流や情報交換の場として、年一回「しめっちフォーラム」を開催しています。
基調講演や各団体の活動紹介に加え、みなさんに湿地に興味を持ってもらうため、「しめっち落語」や「しめっちムービー」なども公演しています。
また、小学生から大学院生、企業による研究発表や、各団体の活動紹介を行うポスターセッションも行っています。
今年度は2020年3月7日(土)に開催します。
詳細は後日ご案内しますので、ぜひご参加ください。

G oods
資料映像・ポスター・マスコット制作

■資料映像
一般の方々にも湿地に興味関心を持ってもらうための普及啓発活動として、湿地の今を伝える「しめっちムービー」を制作しています。
当ネットワーク設立時には、設立趣旨などを紹介した「設立記念ムービー」を制作しました。
2017年度には、札幌市こどもの劇場やまびこ座の方々にご協力いただき、湿地に忍び寄る危機を紹介する「進め!大イシカリ!Part★1トノサマガエルの逆襲」を制作しました。
2018年度には、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属で北海道出身の芸人アップダウンのお二人に出演・脚本・監督としてご協力いただき、「しめっぽい話、有り〼 ~湿地を知ろう!~」を制作。
エンディングにはアップダウン竹森巧さんの「北海道-湿地ラップバージョン-」を採用し、歌って楽しむこともできるエンターテインメント作品となっています。
当ネットワークのYouTubeチャンネルへのご登録もよろしくお願いいたします!

■ポスター
より多くの方々に湿地の魅力を伝えるため、ポスターを制作しています。
第1弾は、石狩川流域の湿地(湿原・沼・海)にある植物75種・80点を一挙掲載したポスターです。
流域内で湿地の保全活動を行う団体や個人の方々の総力を結集して作りました。
売り上げの一部は、当ネットワークを通じて湿地の保全・利活用に充てられます。
通信販売も行っておりますので、興味のある方はこちらをご覧ください。

■マスコット
みなさんにもっと湿地に親しんでもらおうため、宮城県の被災地で活動する(有)コンテナおおあみさんとコラボし、編みぐるみのマスコット「編んだもんだら」を制作しています。
第1弾は、北海道では国内外来種であるトノサマガエルをモチーフとした「カエルのトーノ君」。
第2弾は、宮島沼に春と秋に数万羽が訪れるマガンをモチーフとした「マガンのガンちゃん」。
第3弾は、NPO法人カラカネイトトンボを守る会が会の名称にも入れて大切にしている希少種のトンボをモチーフとした、「カラカネイトトンボのカラヤン」です。
第4弾以降も、エゾホトケドジョウ、ノハナショウブ、エゾカンゾウ、ハマナスなど、湿地に関する動植物をテーマに制作しています。
売り上げの一部は、湿地の保全・利活用と東日本大震災の復興に充てられます。
マスコットの販売は、しめっちフェスタ・しめっちカフェ・しめっちフォーラムなどのイベントで行っているほか、ネットショップも立ち上げました!